サッカーW杯で乱入騒動も。プーチン政権に声を上げる者の正体
ほんとうのロシアとモスクワ③
■思わず背筋が凍る、その後の結末…
先述の、サッカーワールドカップ決勝戦でピッチに乱入した活動家の一人、ピョトロ・ヴェルズィロフさんは、逮捕、事情聴取が一通り終わった後の9月下旬、猛烈な体調不良に襲われた。モスクワの病院では対処しきれないと判断されたヴェルズィロフさんは、プライベートジェットで、ドイツのベルリンに搬送された。ベルリンでヴェルズィロフさんを診察した医師は、「恐らく、強烈な毒物が体内に混入されたと思われる。その毒物が何であるのかは、特定できないだろう」とのコメントを残している。
この他にも、プーチン政権に異議を唱えた「大物」として有名な人物として、アレクサンドル・リトビネンコというジャーナリストがいる。2006年にロンドンで飲んだ紅茶に放射性物質が混入されて毒殺されたとされる、リトビネンコ氏は、死に際に最後のメッセージを残した。
「ヴラディーミル・プーチン。お前は、おれを殺すことで、一人の人間を黙らせることに成功した。だが、おれの死で、世間が黙らないことを忘れるなよ」
当時のニュースを思い出し、筆者は一ジャーナリストとして、背筋に冷たいものが走る感覚を覚えた。